治療薬物モニタリング ELISAキット
治療薬物モニタリング(TDM)は,炎症性疾患における予後の改善や治療コストの削減を目的として定期的に実施されます。TDMは薬剤の薬物動態(PK),および薬力学的(PD)を調べる手段を提供し,患者のモニタリングと研究デザインにロバストな結果を提供します。TDMは反応の効き目を増加させ,毒性や免疫原性を減少させます。また,生物学的治療によって発生し,薬効を妨げる抗薬剤抗体(ADAs)の検出にも役立ちます。Assay Genieでは,治療薬のモニタリングと世界的な抗体治療薬に対する,各種動物の血清や血漿サンプル中のADAs検出用ELISAキットを幅広く提供しています。 これらのキットは高品質な構成品を使用しており,ISO13485品質マネジメントシステムの下で製造されています。
特長
- 世界的な抗体治療薬やバイオシミラー測定用の定量ELISAキットを取扱っています。
- フリーおよびトータルの抗薬剤抗体(ADAs)スクリーニング用の定性・定量キットを取扱っています。
- アッセイ間およびアッセイ間のCV値は,FDAおよびEMEAの要求水準を満たしています。
- ISO 13485品質マネジメントシステムの下,ヨーロッパで製造された最高品質の評価済み研究用ELISAキットです。
- 最高クラスの科学的ガイドラインと文献に基づいた,バリデーション,検証およびロットのリリースを行っています。
- 1ウェルあたりわずか10 μLのサンプル量―臨床検体,マウス,ラットや霊長類サンプルに最適です。
- いくつかのキットはわずか55分で測定結果を得られます。
- 全てのキットは室温で出荷されます。
抗がん
高死亡率と年々上昇するその割合により,異なるがんをターゲットとする薬剤の開発は必須のものとなっています。現在の治療用抗体は血管新生,免疫細胞の回避やアポトーシス阻害を防いでいます。そして治療用抗体は肺がん,結腸がん,膠芽腫や固形がん,乳がん,大腸がん,多発性骨髄腫の治療に利用されています。
チェックポイント阻害剤
がんの免疫回避機構についての知見が増え,免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬剤の発見につながりました。この免疫療法は,免疫システムの無効化を抑え,がんを検出し破壊する手助けをします。このバイオ医薬品は現在,メルケル細胞がん(MCC),メラノーマ,肺がん,腎細胞がん,頭頚部がんの治療に利用されています。
商品コード | 品名 | ELISAの種類 |
HUMB00042 | Avelumab (Bavencio®) | 遊離体 |
HUMB00043 | Anti-Avelumab (Bavencio®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00044 | Nivolumab (Opdivo®) | 遊離体 |
HUMB00045 | Anti-Nivolumab (Opdivo®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00046 | Pembrolizumab (Keytruda®) | 遊離体 |
HUMB00047 | Anti-Pembrolizumab (Keytruda®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00048 | Ipilimumab (Yervoy®) | 遊離体 |
HUMB00049 | Anti-Ipilimumab (Yervoy®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00058 | Durvalumab (Imfinzi®) | 遊離体 |
HUMB00059 | Durvalumab (Imfinzi®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00060 | Atezolizumab (Tecentriq®) | 遊離体 |
HUMB00061 | Atezolizumab (Tecentriq®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
抗炎症
私たちの体内で病原体に対する防衛反応が起きている間,その免疫反応は自分たちにも向けられており,自己免疫疾患を引き起こすことがあります。炎症反応を含む生化学的経路の知見は研究者にとって,例えば関節炎,炎症性大腸炎,乾癬,muckle wells diseaseやその他のような病気の苦しみを緩和させる治療用抗体やバイオ医薬品となる特定の物質を発見することに役立ちます。
商品コード | 品名 | ELISAの種類 |
HUMB00018 | Vedolizumab (Entyvio®) ELISA Kit | 遊離体 |
HUMB00019 | Anti-Vedolizumab (Entyvio®) ADA Qualitative ELISA Kit | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00020 | Ustekinumab (Stelara®) | 遊離体 |
HUMB00021 | Anti-Ustekinumab (Stelara®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00050 | Tocilizumab (Actemra®) | 遊離体 |
HUMB00051 | Anti-Tocilizumab (Actemra®) | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00052 | Natalizumab (Tysabri®) | 遊離体 |
HUMB00053 | Anti-Natalizumab (Tysabri®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00056 | Canakinumab (Ilaris®) | 遊離体 |
HUMB00057 | Anti-Canakinumab (Ilaris®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00068 | Abatacept (Orencia®) | 遊離体 |
HUMB00069 | Anti-Abatacept (Orencia®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00066 | Secukinumab (Cosentyx® , Verxant®) | 遊離体 |
HUMB00067 | Anti-Secukinumab (Cosentyx® , Verxant®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
抗TNFα
TNFαシグナリングの調節異常は炎症性疾患によく見られる現象です。多くの病変,たとえば関節リウマチ、クローン病、潰瘍性結腸炎や乾癬の治療のため、様々な治療用抗体が開発されました。治療の間、これら抗体のTDMを行うことは患者の状態のモニタリング、投薬量の最適化、免疫原性の抑制に大変有効です。
商品コード | 品名 | ELISAの種類 |
HUMB00001 | Infliximab (Remicade®) | 遊離体 |
HUMB00002 | Anti-Infliximab (Remicade®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00003 | Anti-Infliximab (Remicade®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00004 | Anti-Infliximab (Remicade®) Free Drug/ADA Dual ELISA | Antibody screening - Free/Total semiquantitative |
HUMB00005 | Infliximab (Remsima®) | 遊離体 |
HUMB00006 | Anti-Infliximab (Remsima®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00007 | Anti-Infliximab (Remsima®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00008 | Anti-Infliximab (Remsima®) ADA | Antibody screening - Total semiquantitative |
HUMB00009 | Adalimumab (Humira®) | 遊離体 |
HUMB00010 | Anti-Adalimumab (Humira®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00011 | Anti-Adalimumab (Humira®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00012 | Anti-Adalimumab (Humira®) Free Drug/ADA Dual ELISA | Antibody screening - Free/Total semiquantitative |
HUMB00013 | Etanercept (Enbrel®) | 遊離体 |
HUMB00014 | Anti-Etanercept (Enbrel®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00015 | Golimumab (Simponi®) | 遊離体 |
HUMB00016 | Anti-Golimumab (Simponi®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00017 | Certolizumab (Cimzia®) | 遊離体 |
ウェット型加齢黄斑変性
黄斑変性は、最終的に中心視野の喪失をもたらす目の消耗性疾患です。ほとんどの治療法は、血管新生のダメージを防ぐためのVEGFやその受容体をターゲットとするバイオ医薬品で行われます。
商品コード | 品名 | ELISAの種類 |
HUMB00041 | Ranibizumab (Lucentis®) ELISA Kit | 遊離体 |
HUMB00024 | Bevacizumab (Avastin®) ELISA Kit | 遊離体 |
HUMB00025 | Anti-Bevacizumab (Avastin®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00026 | Anti-Bevacizumab (Avastin®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
HUMB00041 | Ranibizumab (Lucentis®) | 遊離体 |
HUMB00054 | Aflibercept (Eylea®) | 遊離体 |
HUMB00055 | Aflibercept (Eylea®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
抗アレルギーと喘息
アレルギーとアレルギー性喘息の発生率が世界で上昇しています。喘息の治療は二次的症状の治療に注力しています。コルチコステロイドに感受性の低い喘息患者の治療に、フリーのIgEに結合するバイオ医薬品が開発されました。
商品コード | 品名 | ELISAの種類 |
HUMB00039 | Omalizumab (Xolair®) | 遊離体 |
HUMB00040 | Anti-Omalizumab (Xolair®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
免疫刺激
好中球減少症は血液中の好中球濃度が異常に低い症状で、多くの有害な副作用をもたらします。化学療法を受けている患者やHIV患者に共通してみられます。この症状はG-CSFの投与により治療します。
商品コード | 品名 | ELISAの種類 |
HUMB00038 | Anti-Filgrastim ADA | 定性的抗体スクリーニング |
肥満
脂質異常症による肥満の治療を目的として、血中からLDLを除く作用のあるバイオ医薬品が開発されました。
商品コード | 品名 | ELISAの種類 |
HUMB00064 | Evolocumab (Repatha® ) | 遊離体 |
HUMB00065 | Evolocumab (Repatha® ) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
骨粗鬆症
年齢によるホルモンの変化で、骨の恒常性に変化が起き,その結果,骨細胞の変性が引き起こされます。RANK-Lをターゲットとすることで、骨を破壊する破骨細胞の成長を防ぐことが可能です。
商品コード | 品名 | ELISAの種類 |
HUMB00036 | Denosumab (Prolia®) | 遊離体 |
HUMB00037 | Anti-Denosumab (Prolia®) ADA | 定性的抗体スクリーニング |
治療薬物モニタリング (TDM)ELISAキットー主な情報
治療薬物モニタリング
当社のELISAキットの多くは、治療薬物(抗体)モニタリング(TDM)のような多くのアプリケーションに対応しています。TDMは、特定の薬剤を患者の血流内で一定の濃度を保ち、個別の投薬計画を最適化するために、指定された間隔で測定する臨床診療です。
TDMキットは臨床医に、各患者の薬物動態特性に応じた治療用抗体の投与量を調整するサポートをします。薬物毒性を最小限にする最適な治療濃度を迅速に求められます。加えて、規則を守らない患者のケースにおける、薬物治療コンプライアンスの問題を特定するのに役立ちます
主要な治療用抗体モニタリングELISAキット
Vedolizumab (Entyvio®) (Free drug) ELISA Kit | Adalimumab (Humira®) (Free drug) ELISA Kit | Infliximab (Remicade®) (Free drug) ELISA Kit |
Assay Genie 抗薬剤抗体(ADA)ELISAキット
多くのバイオ医薬品同様、治療用抗体は抗薬剤抗体(ADA)の産生を生じる免疫反応を引き起こします。治療用モノクローナル抗体(mAbs)に対する多くのADA反応はバイオ医薬品の抗原結合部位に対して起こり、その結果中和されてしまいます。この抗薬剤抗体反応は、なぜ完全ヒト化抗体においても高い免疫原性が見られるのかの説明にもつながります。
抗薬剤抗体は望ましくない免疫原性を引き起こし、バイオ医薬品による治療効果を減少させます。またADAsはしばしば望まない副作用をももたらします。副作用の評価時は、抗薬剤抗体レベルの検出とモニタリングが大変重要です。Assay Genieでは抗薬剤抗体(ADA)分析のための免疫原性アッセイを多く取り揃えています。
主な抗薬剤抗体ELISAキット
Ustekinumab ELISA Kit (Stelara®) Qualitative | Nivolumab ELISA Kit (Opdivo®) Qualitative | Pembrolizumab ELISA Kit (Keytruda®) Qualitative |
Assay Genie バイオシミラーELISAキット
バイオシミラーは認可済みのバイオ技術医薬品(標準製品)に高く類似した品質、安全性と有効性を持ったバイオ医薬品です。製品規格の点においてバイオシミラーと標準バイオ医薬品の間に臨床的な意味の違いはありません。今日、バイオ医薬品第一波のデータ独占性の期間が消失あるいは消失間近であるため、いくつかのバイオシミラーがヒトへの使用目的に開発あるいは承認されています。
多くのバイオ医薬品同様、通常のバイオシミラーは遺伝子組み換えされた動物や微生物、植物細胞の培養系により製造される、構造的に複雑なタンパク質です。その分子的な複雑さと製造工程の独特さから、異なった宿主細胞ラインや発現系、製造条件を使用する必要があり、標準バイオ医薬品の製造工程を完全にコピーすることはできません。
Assay GenieのバイオシミラーELISAキットは,血清や血漿といった生体サンプル中の治療用抗体を、in vitroで検出と定量化するためにデザインされた、大変特異的かつ高感度なアッセイです。Assay Genieでは、お客様のご要望に応じた研究用のバイオシミラー治療用抗体とELISAキットを多く提供しています。
当社のEbookから、トップ10のバイオ医薬品の概要とアプリケーション、作用機序とバイオシミラーの情報をご覧ください。
Assay Genieの治療用抗体(TDM)キットの利点
利点 | 詳細 |
迅速、シンプル、安価 |
特別な装置や手順が不要 |
高感度で特異的 |
天然のヒト血清中の他のタンパクや治療用抗体由来のイムノグロブリンとの交差性や阻害が少ない。 |
正確 |
低いアッセイ内・アッセイ間差 |
コスト削減 |
非効率なバイオ医薬品による治療の中止が可能 |
治療薬物モニタリング(TDM)ELISA 標準プロトコル
Steps | Protocol |
1 |
100 μLのアッセイバッファーをそれぞれのウェルに添加する。 |
2 |
10 μLの調製済みスタンダード、高濃度コントロール、低濃度コントロールと希釈したサンプルをウェルに添加する。 ウェル |
3 |
プレートをホイルで包む。室温(18~25℃)で30分、インキュベートする。 |
4 |
ホイルを取り、液を捨てる。プレートを300 μLの希釈済洗浄バッファーで3回洗浄する。次に、プレートを逆さまにし、残った液をペーパータオル上でタップして除く。 |
5 |
100μLの調製済HRP標識プローブを添加する。 |
6 |
プレートをホイルで包む。室温(18~25℃)で30分、インキュベートする。 |
7 |
ホイルを取り、液を捨てる。プレートを300 μLの希釈済洗浄バッファーで3回洗浄する。次に、プレートを逆さまにし、残った液をペーパータオル上でタップして除く。 |
8 |
100μLのTMB基質溶液を添加する。 |
9 |
ホイルでカバーせずに、暗所・室温(18~25℃)で10分、インキュベートする。 |
10 |
基質反応を止めるために100 μLの反応停止液を添加する。プレートを穏やかに揺らして内容物を良く混ぜる。 |
11 |
反応停止液添加後、30分以内に吸光度を450/650 nmの波長で測定する。 |
Figure 1: Overview of Sample Preparation for Therapeutic Drug Monitoring (TDM) ELISA Kits
Figure 2: Schematic of Theraputic Drug Monitoring (TDM) ELISA kit protocol
治療薬物モニタリング(TDM)ELISA の検出戦略
ELISAの検出ステップはサンプル中の因子量を測定する最後のステップです。検出ステップで生成されるシグナルは、結合した因子量に比例します。
発色法はELISAで最も良く使用される検出法です。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)基質のTMB(3, 3’, 5, 5’-tetramethylbenzidine)が酸化により青色を呈し、硫酸の添加により黄色に変化します。その後、ELISAプレートリーダーにより450 nmの波長で読み取ります。
計算は下記の式で行います:
相対吸光度(O.D. 450)= 各ウェルのO.D. 450値―ゼロウェルのO.D. 450値
標準曲線は各スタンダード溶液の相対吸光度(O.D. 450)(Y)とスタンダード溶液の濃度(X)によりプロットします。サンプルの濃度は標準曲線から決定します。「curve expert 1.3」のような専用ソフトウェアの使用をお勧めします。
FAQs
ELISAキットの保存法は?
キットは室温(10~30℃)で出荷されますが、長期保存の場合は2~8℃で保存してください。高温や直射日光を避けて保存してください。
There was a weak/no signal in my ELISA results, what could have caused this?
考えられる原因 | 解決法 |
試薬を室温に戻していない。 |
全ての試薬はアッセイ開始前に実験台に15~20分程置き、室温に戻してください。 |
インキュベーション時間が短い。 |
マニュアル記載の指示に従ってください。 |
誤った波長を使用している。 |
キットはそれぞれのプロトコルによって最適化されています。推奨波長を確認してください。またプレートリーダーの設定を使用する基質の種類に正確に合わせてください。 |
検出対象の因子が検出限界以下。 |
希釈率を低くするか、サンプルを濃縮してください。 |
標準曲線が低い?
その他のELISAトラブルシューティングはこちらをご覧ください。
試薬のピペッティング不足、スタンダードの分解やピペッティングエラーが原因です。
トップ10治療用バイオ医薬品eBook
この素晴らしいeBookで、私たちは最も売れているバイオ医薬品とバイオシミラーの反応メカニズム、別目的の利用や世界の売上額などの総合的なレビューをお届けしています。